商談の振り返り

商談録画のフィードバックのやり方|「事実・評価・次の一言」で営業が変わる

オンライン商談が当たり前になり、商談を録画する会社は増えました。一方で、「録画はあるが、見返していない」「上司が見ても感想を伝えて終わる」という声もよく聞きます。この記事では、録画を営業の成長につなげるためのフィードバックのやり方を、手順と例で解説します。

商談録画を見ても、営業が変わらない理由

録画があるのに営業の行動が変わらない場合、原因はたいてい次の3つのどれかです。

  • 基準がない:見る人によって指摘がばらばらで、本人も何を直せばよいか分からない
  • 根拠があいまい:「もっと深掘りしよう」のような一般論で終わり、どの場面の話か伝わらない
  • 次の行動がない:良い点と悪い点は分かっても、次の商談で何を言えばよいかが示されていない

裏を返せば、この3つを押さえれば、録画は強力な育成の材料になります。

行動が変わるフィードバックの3原則

原則1:毎回、同じ物差しで見る

フィードバックの基準は、商談のたびに変えないことが大切です。おすすめは、BANT+C(予算・決裁者・必要性・導入時期に、今決める理由・競合・導入しない場合の影響を加えた確認項目)や、MEDDIC(効果の指標・決裁者・判断基準・社内の手順・根本の課題・社内の推進役)といった、商談の確度を確かめる定番の型を土台にした採点表を用意することです。

同じ物差しで見続けるので、「前回より何が良くなったか」も追えるようになります。

原則2:事実を、時刻つきで示す

指摘には、必ず録画の時刻を添えます。「20分55秒から37分11秒まで、営業が話し続けていた」と示せば、本人も録画を見返して納得できます。印象ではなく事実から入ることで、フィードバックが「上司の意見」ではなく「共通の材料」になります。

原則3:次の商談で使う「一言」まで書く

「質問を増やしましょう」では、次の商談で何も変わりません。そのまま口に出せる言い回しと、次回までに準備する資料まで示して、はじめて行動が変わります。

フィードバックの例

実際のレポートを一部変えた例です(社名・業種は伏せています)。

事実録画 20分55秒〜37分11秒。約16分間、営業が話し続け、お客様の発言は一言だけ。発言時間は営業が約5割、お客様は約2割。

評価説明の中身は質が高い。一方で、どの材料がお客様に響いたのかを確かめられていない。

次の一言説明を3つに区切り、それぞれの後に問いかける。例:「役員の方にお話しするとしたら、金額と健康面のどちらが響きそうでしょうか?」

このように、事実 → 評価 → 次の一言の順で書くと、受け取った営業が「何を、なぜ、どう変えるか」をすぐに理解できます。

録画で見るべき5つの観点

観点見るポイント
時間配分話題ごとの時間と、営業とお客様の発言の割合。本当に時間をかけるべき話題に時間を使えているか
冒頭の設計商談の目的とアジェンダを示し、これまでに聞いた課題を確認してから説明に入っているか
ヒアリング予算・導入時期・判断の手順・競合の状況を、営業側から確認できているか
決め手への対応商談中に出てきた「導入の決め手」を拾い、その場で応えられているか
次の約束次回の内容と日程を、全員がそろっているうちに合意できているか

はじめから全部を見る必要はありません。まずは時間配分と次の約束の2つから始めると、効果が分かりやすく出ます。

フィードバックの進め方(5つの手順)

  1. 採点表を決める:観点と、1〜5点の基準(1=ほとんどできていない、3=一人で実践できる、5=人に教えられる)を決めます。
  2. 録画を文字にする:文字起こしがあると、時刻つきで事実を引用しやすくなります。
  3. 採点して、根拠を書く:点数ごとに、録画のどの場面が根拠かを書きます。
  4. できている点から伝える:チームのお手本になる発言は、そのまま引用して共有します。
  5. 伸ばせる点は、効果の大きい順に3つまで:多すぎると実行されません。それぞれに「次の一言」を添えます。

2回目以降は、前回と同じ採点表で点数と行動の変化を示すと、本人の手応えにつながり、上司との1on1の材料にもなります。

AIを使うときの注意点

文字起こしや採点の下書きに、AIはとても役に立ちます。ただし、AIに聞くだけで成果につながるとは限りません。営業でAIツールを使っている企業の調査では、「とても成果が出ている」と答えた割合は26.4%にとどまり、社内だけで難しいことの1位は「指標を改善施策へ落とし込む」(36.5%)でした。

出典:インプレックスアンドカンパニー「営業におけるAIツール導入企業の運用・定着に関する調査」2026年1月(1,025名)

止まっているのは、分析を行動に変えるところです。AIを使う場合も、次の点を押さえておくことをおすすめします。

  • 基準は人が決める:その都度の質問で採点すると、毎回ぶれます。採点表を固定してAIに渡します。
  • AIは下書きまで:商材や業界の事情、商談の前後関係は、人が確認して直します。
  • 使い道まで決めておく:レポートを上司との1on1で使い、毎月の採点で変化を追う運用まで設計します。

まとめ

商談録画のフィードバックで営業を変えるには、次の3つが欠かせません。

  1. 毎回、同じ物差しで見る
  2. 事実を、時刻つきで示す
  3. 次の商談で使う「一言」まで書く

まずは直近の商談を1件選び、時間配分と次の約束の2点だけでも振り返ってみてください。それだけでも、次の商談の進め方が変わるはずです。

近藤 大介

この記事を書いた人

近藤 大介

KONDO & PARTNERS 代表/外部営業戦略参謀。大手人材サービス企業の求人広告代理店で法人営業に従事し、MVP(営業400名中)。2度の起業、ベンチャー取締役、東証上場企業の新規事業部長を経て2022年に独立。商談録画を独自基準で採点する営業アセスメントで、BtoB営業組織と新規事業の「売れる仕組み」づくりを支援している。

30分の無料壁打ちを申し込む